裏表プリンス



声のした方を向くと既に声の主は私より少し前方を歩いていて、微かに此方を向いたかと思ったら不敵な笑みを一瞬だけ浮かべて正面に向き戻った。


何アレ!!かなり腹立たしいんですが!!

別に莉紗以外の人に本性なんて話す気ないっつーの!!


奴の声に因って耳に残された謎の感覚に不快感を抱きながら、思い切り後ろ姿を睨み付けて遣った。



「伊ー桜ーっ?」

「……………」

「ちょっと伊桜っ!!」

「んきゃあ!?」



目的の教室を通過しそうになった私は、莉紗に因って止められた。

教室の中に入ると数人がヒーターの周りを囲って暖を取っている。

私は荷物を置こうと自分の席に向かう途中、嫌な事を思い出した。


正面の席……小桜池くんじゃん。


学級教室とは違い、出席順4人のグループで座る授業で私は彼と同じ班だった。



「……原さん、楠原さん?」



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