裏表プリンス



私はふと、昨日のあのメモに書かれていた内容を思い出した。

暫くお昼一緒に居られない事、莉紗には伝えて於いた方が良いよね?



「そうだ……私暫く一緒にお昼食べれないかもー」

「何で?補習とかあったっけ?」

「ううん、あのエセ王子の命令。悪いんだけど那智に伝えといて呉れる?」

「了解ー……っと、また後で詳しい話聞くかんねー」



そう言って莉紗は自分の席に向かった。

私も自分の席に着き、顕微鏡のグループ実験に参加し真面目に授業を受ける。


班員それぞれが違う検体を顕微鏡にセットしていて、私は最後の検体デッサンの順番を待つ。



「昼休み、絶対に逃げるなよ?」

「わ、わかってるわよ!!」



真横から聞こえてきた小桜池くんの声。

私は視線だけを彼に向けてそう答えると、目に映ったのは王子スマイル……に見せ掛けた悪魔の笑顔。

その笑顔を見てゾワッと悪寒がした。



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