裏表プリンス



「あげる。お昼食べなきゃ駄目だよ」

「じゃあ、有り難く頂戴するわ」

「きゃ………っ!!」



急に勢い良く身体を引き寄せられ唇には柔らかい感触。

引き寄せられた反動で手に持っていたおにぎりが微かな音と共に落ちた。

何度も何度も角度を変えて繰り返されるキスに苦しくなって、小桜池くんの胸を必死に叩く。



「苦……し……っ」

「こんなんで息上がってたらこの先保たないぞ」

「も、無理………んっ」



漸く解放され酸素を求めて少し口を開いた瞬間に再び塞がれた唇。

私の歯列をなぞり侵入してきた舌が私の舌を捉えようと蠢く。

逃げ回るも呆気なく捉えられた舌は解放される事なく、小さな水音が室内に響いた。



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