裏表プリンス
「『アンタ』じゃねぇだろ?」
「………?」
「『煉』って呼べっつっただろ」
「誰が名前で呼ぶモンですか!!」
嫌いな人間を名前で呼べる程、私は出来た人間じゃない。
私は黙々とお弁当を食べ進める。
すると聞こえてきた小桜池くんの吐いた短い溜め息。
「オモチャに拒否権はねぇよ」
「は!?ソレどう言う……っ!!」
「命令に従えねぇなら、さっきのキスの続き……して遣ろうか?」
折角座れたのに再び引き寄せられ、しっかりと腰に腕を回されてしまい逃げる事が出来ない状態に。
腕から掴まれた感覚がなくなったと思えば、今度はツー……と膝から上を手の這う擽ったい感覚。
『キスの続き』
私がその言葉の意味を理解するのに然程時間は掛からなかった。