裏表プリンス
「はっ、放してよ!!」
「じゃあ『煉』て呼んでみ」
「それもそれで嫌だ」
「呼ぶか続きをするかの二択だ、決めろ」
命令口調でそう私に言うと、脚に這わせる手を更にゆっくりと上へと進める。
私は唇を固く結んで、目の前で『さぁどうする?』と首を傾げる最低男をキッと睨み付けた。
名前で呼ぶなんて嫌……だけど、この儘ヤられるのはもっと嫌。
「……ん、放して」
「何?聞こえなかった、もう1回」
「お願いだから放して煉……っ!!」
悔しい気持ちを堪えながら何とか口にした最低男の名前。
私の目に映るのは驚いた表情を見せる悪魔、煉の顔。
名前で呼べって言ったのは向こうなのに、どうして驚いた表情を見せるのよ。本当、行動や考えてる事が読めないわ。
すると私の身体は解放され、優しく椅子へと戻された。