裏表プリンス
何よ……今の。
煉の居なくなった実験室に1人、私は火照る顔を押さえて俯いた。
速まる鼓動、一気に火照る身体……まるでコレじゃあ恋してるみたいじゃない。
……………恋?
「まさか、恋なんてそんな訳……」
「恋ー?誰が恋してんの?」
私1人しか居ない筈の実験室に響く私以外の声に顔を上げると、そこには那智の姿。
昼休みの私の居場所は教えてない筈なのにどうして此処に居るの?
「那智……何で此処に……」
「昼休み伊桜が教室に居ないから探し回ってて偶然、此処を通ったら伊桜が居たって訳ですよー」
「あ、そう」
「相変わらず冷たっ!!てかストレートヘアの伊桜も超可愛いーっ!!」
何時も通り抱き付いてきた那智は勿論フルシカト。
昼休みがゆっくりと過ぎていった。