裏表プリンス
「……何だよ」
「ソレ、私の台詞なんだけど。話したい事って一体何?」
「あぁ、アレは伊桜を呼び出す口実」
「はぁ!?何ソレっ!!」
煉は本から視線を外して私に近付くと、一番の死角である司書室に連れ込まれた。
てか司書の先生居ないの!?司書室開放してたらマズイんじゃないの!?
「あぁでもしないと伊桜は来ないだろ?それと……」
「それと……何よ」
「ココは先生が留守の時に管理を任されるから、俺は自由に出入り出来んだよ」
「ソレ可笑しくない!?てか話す事ないなら帰りたいんだけど」
何時ものパターンで壁際まで私を追い詰める煉を軽く睨み付ける。
だけど煉にそんなのが効く筈もなく、手首を壁に抑え付けられてしまった。
「タダじゃ帰さねぇよ」
「ちょ、やめ……っ」
軽く左耳に触れる煉の吐息。
私の左耳は一気に熱く、紅潮する。