裏表プリンス



「 Please kiss from Io. 」

「……は?」



急に綺麗な発音で私に何かを頼む様に言って来た煉。

発音が綺麗過ぎて何を言っているのか全く聞き取れない。

コイツ……英語だけ毎回赤点なのを知ってて遣ってる絶対。



「 Make it early. 」

「何言ってるかわからないって!!」

「 That's too bad. 」

「え……待、……ん……っ!!」



煉が何を言っているのかわからない儘、私は唇を塞がれてしまった。

遊びのキス……嫌だと思うのに、どうしてだろう……嫌じゃない。

次第に深くなっていくキスに、私は何も考えられなくなる。


少しして離れた唇。

煉は何か企んでる様な顔で私を見詰める。



「俺が勉強教えて遣るよ」

「…………はい?」



< 62 / 156 >

この作品をシェア

pagetop