裏表プリンス
てっきり何時もみたいに『バーカ』とか言ってからかわれるんだと思ってたから、予想外の言葉に私の顔はポカン。
「……なっ、何企んでる訳!?」
「何も企んでねぇよ。オマエ殆どの教科平均なのに、英語で赤点取って春休みなくしたくねぇだろ?」
「そりゃそうだけど……」
アンタと2人きりになったら何されるかわからないじゃん。
そう思いながら煉に視線を向ける。
「どうせ『2人きりになったら何されるかわからない』とか思ってんだろ」
「うん、思ってる」
そう即答して返すと、煉は1度溜め息を吐いて私を見詰める。
不意に視線が重なり、私は恥ずかしくなって煉から視線を逸らした。
「じゃあ学年末までの1週間、手ェ出さずに勉強教えるって約束して遣るよ」
私に小指を差し出して煉は偉そうにそう言うと、何故か片手で口元を覆った。