裏表プリンス
「行く……?って何処に行くの?」
「は……?何処って、勉強する為に場所移動すんだよ」
煉の言葉に私の脳は一時停止。
急に固まった私を不思議に思った煉に頭をペシッと叩かれて、我に返った。
「移動って、まさか今日から勉強始めんの!?てか別にココでも良くない!?」
「当たり前だろ。てか何、伊桜は2人きりの図書室が良い訳?そんならさっきの約束守れる自信ねぇよ、俺」
「否ソレ困るから!!それに2人きりが良いとかそんなんじゃないから!!」
「冗談だっつの、バーカ」
私の額を小突き司書室から出、そして鞄を持って図書室を出て行く煉。その後ろで一定の距離を保ちながら歩く私。
静かな廊下に2つの足音。
私の耳に響いて仕方ない自分の心臓が強く打つ鼓動。
煉に聞こえてないだろうか心配になる。
行き先を知らされない儘、私は煉の後をついて行った。