裏表プリンス
急に視界が揺らぎ、私の目の前に広がるのは天井の白。
抑え付けられた腕と微かに掛かる煉の体重に、押し倒された事を理解した。
「ちょ、何……?」
「やっと捕まえた。最近やけに避けて呉れてんじゃねぇか」
「べ、別に避けてなんか……!!」
「じゃあ目ェくらい合わせろよ」
そう言われても私は煉の目を見る事が出来なくて。互いに何も言わず、リビングは静寂に包まれる。
そして私の手を抑え付けている煉の力が強くなっていく。
「……ムカつく」
「…………!!」
何も言わず顔を逸らした儘の私を無理矢理に正面を向かせ、唇を塞ぐ煉。
どうして、どうしてこんな事するの?
そう思ったら目頭が熱くなって、自然と涙が目尻を伝った。