裏表プリンス



「私、本当バカ……」



一時でも恋にかまけて私達の関係の事なんかすっかり忘れてた……。

1人でハシャイじゃって馬鹿にも程があるよ、救い様がないくらいに。



「……ホンット伊桜って馬鹿だよな」



扉1枚向こうから聞こえてきた声に私は小さく肩を振るわせた。

だけどドアを開けようとはせずにその儘身体を90度回転させた。



「何で……追って来るのよ……」

「誰かさんが泣いてるからじゃね?」

「だからって……」



その儘放って於いて呉れて言いのに。

そう思っても、気にして追って来て呉れた事が嬉しいなんて……私可笑しいよ。



「つーかさ、辞めてぇのって本当に辛いってだけな訳?」



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