俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
その言葉は、あたしを安心させるには、十分すぎるモノだった。
「え、それはどういう……」
「だからそのまんまだよ。
桜井のことを大切に想ってるんだったら、普通に恋愛対象に入ってるんじゃないか?」
真面目な表情をしている桐生っちのことを頼もしく思えたのは、これが初めてかもしれない。
ごめんね。でも……ありがとう。
「まだまだあたし、お子様に見られているかもしれないけど」
「うん」
「大切に想われるように、頑張るね!」
誰のことを話しているかを告げていないのに、
桐生っちはまるで先生とのことを悟っているかのように、頷いた。
大人のキスをされたあの日から、
――先生は、あたしのことを避けている。
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