俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



池谷くんがあたしのお家に来るのは、きっとあの日以来だ。




「久々だなー、この道通るのは」



「そりゃあ池谷くんのお家は反対方向だもんね。滅多にこっちに来ることないよね」




内心少しだけ緊張してるけれど、池谷くんが上手くカバーしてくれているおかげで、いつも通りの会話が出来ている。



――池谷くん。

初めて話した時は、すごく怖くてビクビクしてたなあ。


でも勉強を教えてくれるようになってからは、少しずつ優しいところや気を使えるところも見えてきて、


いい人だなあ、と思えるようになった。



そんな池谷くんがあたしに告白してきたときは、正直びっくりした。


だって、彼女がいるって勘違いしてたし、ましてや先生が好き!って公言してるあたしに好意を持ってくれてるなんて、思ってもみなかったから。



だけど、ごめんね。

あたしは、やっぱり――。




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