俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「なんで謝ってる――」



「最近の柚、どこか心あらずって感じだったけどさ。それって、

……俺が、告白したせいだよな?」




その言葉に、思わず胸がドキン……!と反応してしまう。


池谷くんに知られないように、“違うよ”って言いたいのに、言えないまま俯くことしか出来なかった。




「あの時は勢いって言ってしまったけどさ。まだ、言うつもりはなかったんだよ」



「池谷くん……」



「あの時、”先生”って呼んでた人。あの人だろ?柚が授業中ずっと騒いでた人って」



「……うん」




池谷くんは気付いてたんだ。


あの時、先生と鉢合わせしていたことに。


そして――自分が告白したせいで、あたしの元気が無くなっていたことに。




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