俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
カランカラン……と、診療所に来客があることを知らせてくれるベルが響き渡る。
その音に反応したナース……お母さんが、受付から扉の方に視線を向けた。
「え……柚?と、お友達?」
「お……お母さん……」
そりゃ、驚くよね。
学校に行っているはずの娘が、カッコいい男子と一緒に姿を現したら、目がテンになるのも仕方がないよね……?
あたしとお母さんとの間に流れる微妙な空気を察した池谷くんが、一歩前に出て、笑顔を浮かべた。
「初めまして。柚希さんと同じクラスの池谷と申します。柚希さんが授業中に体調が悪くなったみたいなので、ここに連れてきました」
「柚、調子悪いの……?」
心配そうにあたしを見守るお母さんに、嘘はつけない。だけど隣にいる池谷くんのことを考えると、控えめにコクン……と頷くしかなかった。
「挨拶が遅れてごめんなさい。柚希の母親です。柚希がいつもお世話になっております。
ほら、柚。ここに名前書いて待ってて」
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