俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
よそ行きの態度で池谷くんに挨拶したお母さんは、あたしに受付簿に名前を書くように指示した後、診察室へと姿を消した。
たぶん、お父さんと先生に、あたしのことを伝えに行ったに違いない。
「それじゃ俺、学校に戻るから」
「ええ?池谷くん、一緒に待っててくれないの?」
「何言ってんだよ、柚。これは柚の問題だから、あとは自分で頑張ることだよ。それに……」
「それに……?」
「先生が俺に会って、ますます機嫌を悪くしても困るだろ?だから俺は帰るから」
「い、池谷くん……」
「健闘を祈る。上手くいかなくても俺が貰ってあげるから。じゃ、お大事に」
手をヒラヒラを降りながら去っていく池谷くんを、放心状態で見送るしかなかった。
この状況……どうしよう。
どうやって先生に接すればいいの!?
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