俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
そんなことを思い出していると。
「柚、大丈夫か?」
「お父さん!」
待合室に姿を現した白衣姿のお父さんが、心配そうにあたしの顔色を窺っていた。
きっとお父さんには、あたしの「胸が痛い」っていう症状を聞いて、凄く不安になってるんだろうな。
「大丈夫だよ、お父さん。心配しすぎ」
「でもなぁ……。柚は小さい頃から病気しない子だったから、胸が痛いなんて不安で不安でしょうがないんだよ」
「だーかーらー!大丈夫だから!」
だって、お父さん。
何度も言うけど。
あたし、病気じゃないからね!
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