俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



次の目的地に向かう車内は、静まり返っていた。


先生に話しかけたいけど、さっきの表情や態度を思い出すと、話しかけることが出来ない。


チラッと先生を盗み見してみると、いつもの無愛想でクールな表情を浮かべているのに、どこか悲しそうな雰囲気が漂っている。



先生の悲しみの理由を知りたいのに、あたしは先生の中に入ることをきっと拒否される。


先生は、なにかを抱えて戦ってるの――?




「着いたぞ。降りろ」



「は、はい……!!」




考え事をしていると、先生に声を掛けられた。目的地に着いたみたいで、あたしは急いで車外へと飛び出す。


すると、そこには。




「え?き、綺麗……!!」



「お前、驚きすぎだから」




一面に、綺麗な青い海が広がっていた。連れてこられたのは、臨海公園だった。




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