俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
「忘れたいって、もう先生を諦めるの?」
悲しそうに呟く絵梨にゃんは、きっと責任を感じている。
だって自分の大好きなお姉さんが関係してるんだもん。
でもね、絵梨にゃんは悪くない。
あたしが――お子様だっただけ。
「諦めないけど、アタックをお休みしようかなって意味だよ。ずっと先生のことでモヤモヤしてたら、留年しちゃいそうだし」
へへっと笑うと、絵梨にゃんも少しだけ笑い返してくれた。
……きっと、あたしの弱虫な心じゃ、先生のことを考えてしまう。
しかも、先生はまだあたしの家に住んでるわけで、きっとこれからもずっと気まずいまま顔を合わせてしまう。
でも、絵梨にゃんがいるから、そんな状況でもあたしは頑張れる。
少しだけアタックをお休みして、先生への気持ちを整理したい。
「柚、あたしね……」
「なーに?」
「池谷でもいいと思うんだ。柚の恋愛の相手」
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