俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「柚が笑顔になれるなら、あたしは先生でも池谷でも大歓迎だよ」と付け加えた絵梨にゃんは、あたしの頭をポンポンと押さえてきた。




「ごめんね、あたしの思ってることばっか話しちゃって。でもふたりのことでしっかり悩んで、柚の幸せな答えを見つけてほしいな」



「うん……。あたし絶対くよくよして悩んじゃうけど、その時はまた相談していい?」



「当たり前でしょ。あたしは柚の一番の親友なんだからね!」




ふたりで目を合わせて笑う。


先生にフラれてから、あたしは世界が真っ暗になっていた。


もう終わりだと思っていたけど、絵梨にゃんは選択肢をくれた。



あたしがキラキラ輝けるようになる、とても難しい選択肢を。



だけど、なぜか冷たく冷え切っていたはずのあたしの心は、温かくなっていて。



恋って難しいけど、たくさん壁にぶつかってみよう。


そう思えた1日だった。




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