俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「いや……2人だけで遊んできなよ」



「え?朔夜?」




由梨が、めずらしく声を上げる。


俺はその反応の意味を理解できないまま、真っ赤な顔で話を進めた。




「俺のせいで2人の予定を潰すのは申し訳ないから……遊んできなよ。俺は悪いけど、家に帰ることにする」



「分かった。気を付けて帰れよ、朔夜」




心配そうに眉を下げる水樹と、何故か少しだけ頬が赤く染まっている由梨に見送られて俺は教室を出た。


由梨の様子が少しおかしかったことも、この時の俺には気にする余裕なんてなかったんだ。


“2人”という言葉に反応したり、頬を赤く染めていたり。


――俺が体調を崩さなければ、これからの学校生活もきっと楽しいものになっていた。


俺の選択が、この3人の関係を、由梨への淡い恋心も、全てを崩してしまったんだ。




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