俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「は?どういうことだ水樹」



「だから……さっきも言ったじゃん。……告白されたんだよ、由梨に」




真剣な顔付きの水樹の言葉を、信じることなんて出来なかった。


体調を崩した俺は、数日学校を休んだ。高熱が続き、とても学校に行ける状態ではなかったからだ。


やっと熱も下がり、学校に登校すると、すぐさま水樹によって人がまったくいない屋上へと連れてこられ、放たれた言葉がこれってわけだ。



心が、真っ白になる。




「朔夜が熱出したあの日。俺と由梨で遊びに行ったんだ。そしたら……由梨がずっと、俺のこと好きだったって」




きっとあの日のことを思い出しながら話しているんだろう。その言葉は、少し弱々しく聞こえた。


きっと水樹は、気付いてる。


俺の叶わない、恋の相手に。



だから、あえて隠し通さずに、こうやって俺に真実を打ち明けてくれている。水樹って、そういうヤツだから。




.
< 190 / 266 >

この作品をシェア

pagetop