俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
「ご馳走さまでした」
「はーい。食器は置いて行ってね。今日も仕事よろしくね」
「はい」
何も言えなくなった俺は、おばさんの顔を見ずにダイニングを出て自室へと向かう。
胸の中には、信じられないくらいにモヤモヤした感情が広がっていた。
――別に、アイツに彼氏が出来ていたっておかしな話じゃない。俺が全力で振ったから。
アイツだって高校生だ。青春を謳歌したいだろ。
そう心の中で納得しようとしているのに、何故か納得出来ない俺がいる。
この感情、一体何なんだ…?
「きっと、慣れない夢でも見て疲れているんだ。アイツのことだって――きっとそうだ」
俺の独り言は、空しく空っぽの心に染み渡っていた。
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