俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



分かってるけど、言葉に出すとやっぱり悲しくなる。


水樹さんには言えないけど、先生はずっと由梨さんが好きだから。




「柚ちゃんさ、ちょっと勘違いしてない?」



「え、勘違い……?」



「俺、朔夜から全部聞いちゃったんだよね。……柚ちゃんと朔夜の今の関係について」




心臓の鼓動がどんどん速くなるのが分かった。


水樹さんはきっと、この話をするために、あたしをここへと連れてきたに違いない。




「俺と朔夜と由梨は、高校の時の同級生だった。ここはきっと、朔夜から聞いてると思う」



「はい、知ってます」



「朔夜はさ、あんなに無愛想な顔してながら、実はすっごく優しくて気配りが出来る。だからさ、俺は朔夜にすごい辛い想いをさせてしまって、ずっと後悔してた」




寂しそうに笑う水樹さんは、ポツリポツリと、高校の時の話を始めた。




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