俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
あたしは、なんでこんな目に遭ってるんだろう。
「そろそろ8時だね。朔夜も仕事から戻ってきてるかなあ?」
「……大丈夫だと思います」
「柚ちゃん、遅くなることはご家族には連絡してあるの?じゃないと俺、ただ柚ちゃんを誘拐してる悪いオジサンになっちゃうからさ」
横から能天気に聞こえる笑い声をバックに、あたしは今置かれている状況を整理してみた。
――現在、PM8:00。
パスタを食べてから少し水樹さんのお店でくつろいだ後、あたしは本日二度目の白いスポーツカーに乗せられて、今までずっと水樹さんのドライブに付き合わされていた。
これのどこが、面白い作戦なんだろう……。
ただ水樹さんのドライブに付き合ってるだけなんじゃ……。
「よーし。じゃ、ちょっと車停めるね!」
この声と共に、あたしの家の近くにあるコンビニに車は停まった。
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