俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「おい、コイツに何したんだよ、水樹!!」




そんな怒鳴り声と共に突然後部座席のドアが開いて、あたしの手を誰かが掴むと同時に、シートベルトを外され、外へと連れ出された。


……誰か、じゃない。


これは――




「あ、朔夜。すっごい息が上がってるけど、もしかして走って来た?」



「当たり前だろ水樹。お前由梨がいるのにコイツに手を出して、何を考えてるんだよ!!」




あたしの大切で、愛しい人だ。


愛しい先生が、わざわざ走ってここまで来てくれたんだ。それだけであたしの心は温かくなる。




「何も考えてないって。柚ちゃんに俺の作ったパスタ食べてもらって、そのままドライブがてら送っただけだよ。ね?柚ちゃん」



「は、はい……!!」




水樹さんに同意を求められて、思わず頷いてしまった。




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