俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



この言葉には、たくさんの気持ちが込められている。



ずっと応援してくれた、絵梨にゃん。

あたしのことを想いつづけてくれた、池谷くん。


そして、あたしにもう一度ぶつかる勇気をくれた、水樹さん。



みんなの想いを無駄にしないために、あたしはもう一度、大好きなあなたに気持ちを届けます。




「フラれてから何度も諦める努力をしました。だけど、何をしてても先生のことを忘れることなんて出来ませんでした」




池谷くんに心が揺らいだりもした。先生のことを想ってたくさん泣いた。だけど、どこか心の片隅には、いつも先生の姿があって。




「先生にとって迷惑な気持ちかもしれません。だけど……あたしは……ッ」



「泣くなよ。俺が泣かせてるみたいだろ。……ま、俺が泣かせてるようなもんか」




ゆっくりと、あたしの身体が温かいものに包まれていく。


そして、先生の言葉で、ようやく自覚した。



……あたし、先生に抱きしめられてるんだ。




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