俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
温かくて、愛おしい。
大好きなひとに抱きしめるのって、こんなにも嬉しくて、幸せな気持ちになれるんだね。
「お前はすぐに突っ走るし、周りが見えなくなるし、おっちょこちょいだし、正直活発すぎだ。もう少し落ち着け」
「ご、ごめんなさい……」
「だけど、それよりも」
その言葉を同時に、先生の抱きしめる力が少しずつ強くなっていった。
「お前は頑張り屋で、努力家だ。お前を振ってから、人に愛されて好かれる理由がよく分かるようになってきた」
「先生……」
「いつも酷い態度を取って、お前を傷つけて、泣かせてばかりだったな。これからはお前を、笑顔にしていきたい」
そして、一番欲しい言葉が、あたしの耳に降り注いだ。
「その役目を、俺がしていきたい。
――俺と付き合ってください、柚希」
.