俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
いつも呼ばれることのなかった、“柚希”という名前。
みんなは親しみを持って“柚”というあだ名を呼んでくれるけど、あたしの名前は“柚希”なのに、とずっと思っていた。
でも今、かけがえのない人が、ちゃんとあたしの名前を呼んでくれた――。
「あたしが先に告白したんですけど、先生」
「知ってる。だけど、俺から言いたかった。柚希の気持ちを無視して、迷惑かけてばかりだったから。
ほら、返事は?」
そんなの、もちろん決まってる。
だって、ずっと好きだったんだよ?
「あたしのこと、ずっとギュッてして、離さないでくださいね?」
「当たり前だ。それよりも俺は柚希よりも10歳も歳が離れている。柚希のほうこそ大丈夫なのか?こんなオジサン」
「先生のことオジサンと思ったことは一度もないし、むしろ歳が離れてたほうがいいです」
「なんだそれ。やっぱり変わってるな」
「変わってていいです。これからずっと先生の傍に居れるのなら。
――大好きです、先生」
「ああ、知ってる。俺もだ」
.