俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



いつも呼ばれることのなかった、“柚希”という名前。


みんなは親しみを持って“柚”というあだ名を呼んでくれるけど、あたしの名前は“柚希”なのに、とずっと思っていた。


でも今、かけがえのない人が、ちゃんとあたしの名前を呼んでくれた――。




「あたしが先に告白したんですけど、先生」



「知ってる。だけど、俺から言いたかった。柚希の気持ちを無視して、迷惑かけてばかりだったから。

ほら、返事は?」




そんなの、もちろん決まってる。

だって、ずっと好きだったんだよ?




「あたしのこと、ずっとギュッてして、離さないでくださいね?」



「当たり前だ。それよりも俺は柚希よりも10歳も歳が離れている。柚希のほうこそ大丈夫なのか?こんなオジサン」



「先生のことオジサンと思ったことは一度もないし、むしろ歳が離れてたほうがいいです」



「なんだそれ。やっぱり変わってるな」



「変わってていいです。これからずっと先生の傍に居れるのなら。

――大好きです、先生」



「ああ、知ってる。俺もだ」




.
< 254 / 266 >

この作品をシェア

pagetop