俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



家までの帰り道、あたしは先生に気になっていることを聞いてみることにした。




「そういえば先生、由梨さんのことはもういいんですか……?」



「いいもなにも、由梨は水樹と結婚するんだ。少し前までの俺なら、ずっとグダグダ悩んでただろうが、俺には柚希がいるからな」



「いつからあたしのこと、恋愛対象としてみてくれてたんですか?」



「俺が柚希を振ってから、真剣に考えたんだ。お前といる時間は大変だったけど楽しかった記憶がたくさんあって、ふとしたときに柚希のことを思い出してた」



「じゃあなんで、恋愛対象に入る前からあたしにキスなんて――」



「って、さっきからお前は俺に恥ずかしいことを質問し過ぎだ!俺の気持ちも考えろ」




そう話す先生の顔は、少しだけ赤く染まっていた。そんな先生でさえも愛しく感じるあたしは、相当重症みたい。




「そんなに俺を苛めたいんのなら、俺からも質問してやる。お前、クラスメイトに乗り換えたんじゃないのかよ」



「へ?乗り換えた……?」



「そうだよ!いつか路上でお前に告白してた、お前の同級生の男のことだよ!」




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