俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
マイダーリン、改め、先生。
あたしが好きになった人は、無愛想で無表情、氷よりも冷たい態度を持った、十歳年上のお医者サマ。
ただし、目上の人には猫かぶりっぱなしで、聞き分けがいい“優秀な人材”を演じている。
―――だけど。
女の人を泣かせるのが苦手で、慰め方もはっきり言ってあまり上手では無い、不器用な一面があって。
照れたり、笑ったり、困ったり、色々な表情を持った、思わず愛くるしく感じてしまう人でもある。
「先生!あたし迷惑にならないように頑張るんで、アタックしていいですか?」
「迷惑掛けるなよ。それが守れるんならどうぞご勝手に。―――俺をオトせるモンなら、オトしてみろよ」
先生はいつもの無愛想な態度に戻ってしまったけど、その瞳からは怪しいニオイを感じた。
それは、これからのバトルの始まりを表しているようにも見えて。
「絶対に、オトして見せますから!」
この瞬間から、あたしと先生の、長い長い恋のバトルの火蓋が、切って落とされた。
.