俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
「大人な先生を、柚はどうやって振り向かせる気でいるの?」
「え?そりゃ、正面から堂々とアタック作戦だよ!」
「アンタ、正気でいるの?」
そう言って、何故か絵梨にゃんは、あたしの頭に小さくげんこつを落としてきた。
突然のことに、あたしは眉毛がハの字になってしまう。
「二十七歳っていったら、柚よりも十歳も年上なの。恋愛経験も豊富なオトナに、正面からアタックして、ハイハイと事が上手く進むと思う?」
た、確かに。
絵梨にゃんの言葉で、あたしは初めて事の重大さに気付く。
先生はあたしと違って大人で、きっと色んな恋愛をしてきたハズ。
そして、先生から見たらあたしは、ただの十歳年下のチビッ子に違いない。
だからきっと、あたしの決死のアタック宣言も、あんなに上手くかわされてしまったんだ。
これって、あたしが恋愛対象に入るには、相当な努力が必要ってこと!?
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