俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「というわけで、今日の授業はここまでだ」




桐生っちが面倒臭そうに、教科書を丸めて自分の肩を叩いていたり、居眠りしてるクラスメイトがいたり。


今日も、平和だなぁ、とつくづく思う。


あっという間に十月だし、先生とは特にこれといった進展もない。


基本、仕事で忙しそうだし、土日だって診療所の方に顔を出して急患の人の対応をしているか、どこかに出かけているか、だもん。


学会?というところに行っているみたいだけど、バカなあたしには何をしているのかさっぱり分からない。いや、分かりたくない。




「あ、そういえば、桜井」



「へ…?」




思いっきり考え事をしていたあたしは、突然の桐生っちの指名に、マヌケな声を出しながら返事をした。


また、いつものように啖呵を切ってきて、喧嘩したいのかなぁ…?




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