俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



あたしが「ん?」と首を傾げていると、桐生っちは見たこともない真剣な表情で、口を開いた。




「今からちょっと、職員室に来い。大事な話がある」



「大事な話…?」



「ああ、大事な話だから、逃げるなよ。じゃ、他のヤツらは休憩に入っていいぞ」




桐生っちの一声で、クラス中がざわざわと騒がしくなる。


そんな中、あたしは初めて見る桐生っちの真剣な表情に、ひとつの考えを巡らせていた。




「やっぱり、桐生っちはあたしのこと、好―――」



「そんなわけないでしょ。早く職員室行っておいで」




バコン!という音と共に、教科書を持った絵梨にゃんが、呆れた表情を浮かべながらあたしの頭を叩く。


…やっぱり、そうですよね。




「いってきまーす…」




あたしは重い腰を上げ、しょうがなく職員室に向かうことにした。




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