俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「正直、次の中間テストの点数によって、桜井の留年が決まってしまうかもしれなくてな」



「…ええっ!?」




職員室に、あたしのキーンとした声が響き渡る。


まだ十月なのに。

中間テストの後には、期末テストと学年末テストも控えてるっていうのに…!


この時期で、わたくし桜井柚希、THE★ENDってことですか?


あわあわと慌て始めるあたしをよそに、桐生っちは腕を組んだ状態で、「それでな」と話を続けた。




「さすがに、この時期に留年が決まってしまうのは、どうしても避けたいだろ?」



「も、もちろん!ていうか、留年自体避けたいっ…!!」




よほどのことがない限り、誰も喜んで留年なんてしないと思うし、留年なんてしたら、先生に嫌われる…!!


―――ん、先生?


その瞬間、普段はまったく使い物にならないあたしの脳みそが、フル活動を始めた。




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