俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



思いついちゃった。

あたしと先生が、親密なカンケイになれる、魔法のような作戦を。




「桜井、お前ニヤついてるぞ?」



「いやいや、そんなことないですよ、桐生センセイッ!」



「初めて桜井に先生呼ばわりされた…」




何故か感動して、目をキラキラさせている桐生っちを放ったまま、あたしの妄想はどんどん膨らんでいた。


先生は、あたしが勉強が得意なほうではないことを、知ってる。


そしてただいま、あたしと先生は、みんなが憧れるような“ひとつ屋根の下”で暮らす、という、夢のような生活を送っているわけで。


今回こそは、あたしのわがままを通してもらうしかない!


今まで、ずっと先生が忙しそうだったから距離を保っていたけど、ピンチをチャンスに変えるんだ!柚希!!




「桐生っち!あたしね、お家で勉強す―――」



「何言ってんの?勉強できないから、留年しそうなんでしょ?」




手を挙げながら行った、桐生っちへの宣言は、背後から聞こえてきた声にかき消された。




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