俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



池谷くんに手首を掴まれたまま、廊下をズンズン進んでいく。


ど、どうしよう……。

気まずい……!!


とりあえず何か話さないと、気まず過ぎて息が出来ない!


あたしは前を歩いている池谷くんと、とりあえず会話を成立させることにした。




「ね、ねぇ池谷くん!手、離してもらってもいいかな?」



「絶対離さない。離したら、逃げるだろ」




振り向くことなく、淡々と言葉を紡ぐ池谷くん。


……って、なんで無意識に胸キュンなセリフを発してるのさ!

何も知らない人が聞いたら、あたしたちの関係が誤解されてしまう!


慌てて、会話を続ける。




「に、逃げないから!逃げたら何でも言うこと聞くから!だから離してください……」




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