俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~
お父さんは、国立大学の医学部を卒業した、れっきとした医者。
お母さんは、エリートばかりが集まる看護学校を卒業した、れっきとした看護師。
そんな二人が出逢い、交際を始め、結婚し、あたしを授かり、それを機に始めた町の診療所が「桜井医院」。
都心からは少し離れているけど、お父さんの確かな腕と、お母さんの温かい対応により、診療所の評判はかなり良いらしい。
―――でも、そんな二人から生まれた子供のはずなのに、頭が悪いあたしは、一体何なんだろうか。
「ただいまー」
「お帰り、柚!」
病院に隣接している家のドアを開けると、玄関を掃除しているお母さんと遭遇した。
いつもなら、この時間はまだ仕事をしているはずなのに、何で今日は居るんだろう…。
「あれ?今日は休診日だったっけ?」
「違うけど、ちょっと掃除しておこうと思って」
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