神様は気になさらない(KK2)
「こんばんは」


青年は、明るいブラウンの瞳をルイに向けて、笑いかけた。
それはワクワクするような、楽しそうな笑顔で、つられてルイはおずおずと頬笑んだ。


「あなたは、死神?」


やっと迎えに来てくれた、そう思っていたルイに、だが青年はちょっとずっこけてみせた。


「ちょっ、あんなんといっしょにすんなや。散歩しとったら、ずいぶんとかわいい子が泣いてると思って、遊びに来てやったのに」
「泣いて……?」
「なんや、気づいてなかったん?」


青年の指先が、ルイの頬をなでる。


「なんぞ、つらいことでもあるんか?」
「ううん。つらいのは、ママと、パパと、おねぇちゃん」


はじめて会ったのに、ルイは、青年に素直に、思いを話すことができた。
親にも話せなかった、思い。
家族を苦しめるばかりな自分を、早く迎えに来てくださいと、祈り続けていた秘密を。
青年は、微笑みながら、少し、眉をひそめた。

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