神様は気になさらない(KK2)
もしかして、口にすれば、チャーリーは簡単に、ルイの苦しみを溶かしてくれるのだろうか。
あの、幼い日に出会った不思議な青年のように。

思いかけ、ルイは、目を伏せた。

できるはずがない。
たとえば、チャーリーになんと言えばいいのだ。
自分は、吸血鬼を捕えるために、教会から派遣された、鬼なのだと?

そんなことを言えば、きっとチャーリーは、逃げてしまう。
チャーリーが本当に吸血鬼なのだとしたら。
鬼ごっこの鬼に、進んでつかまろうとする者など、いるはずがない。


「なぁ、ルイ。鬼ごっこって、知ってる?」
「……え?」


ふいに。
チャーリーから、そっと話しかけられて、それでもルイはピクリと肩を震わせた。
自分が考えていたことまで、チャーリーに知られてしまったのだろうか。
< 21 / 57 >

この作品をシェア

pagetop