神様は気になさらない(KK2)
先刻。

ルイが、あまりに哀しそうな眼をしているから。
つい、自分から藪をつつくような話題をしてしまった。

鬼ごっこの鬼。
あんなことを言われれば、いくらルイでも、チャーリーを疑うだろう。

それでも。
ルイから少しでも、苦痛を取り除いてやりたかった。
ルイだけが、罪悪感を感じることはないのだと。

なのに。


「ほんまに……純粋にもほどがあるで、ルイ」


捕まったら友達になって終わればいい。
そう言ったチャーリーに、ルイは、自分ならそうする、と、答えたのだ。
そんなことを考えることさえ、教会に対する裏切りだと、ルイは気づいているのだろうか。
ルイは、チャーリーを慕ってくれている。
チャーリーの正体を知ってなお、友達でいることを幸運だと思ってくれる。


こんなことは、初めてだった。
チャーリーの正体を知った者は皆、チャーリーを怖がり、あるいは蔑んだ。


だからこそ、ルイを、愛しいと思う。
ずっと、一緒にいたい。

けれどそれが、許されないことだとも、チャーリーは知っている。


「……しゃあないなぁ。ここは、負けてやるか」


長く暮したこの土地を離れるのは、チャーリーとしても不便なことだ。
だが、ルイと戦わずに、このまま別れるためには、それしかないだろう。

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