神様は気になさらない(KK2)
そんなはずはない。
ルイには姉がいる、と聞いたばかりだ。


ふと。

考えたくない思いが、よぎる。
長年戦った相手だ。
教会側も、チャーリーのことは細かく調べているだろう。
昔、チャーリーが町の小さな窓のひとつを通り抜け、子供と会ったことも、調べられているかもしれない。
その話題を、さも自分の思い出のように話して、油断させる。

ルイが、そんなに器用だとは思えない。


だが。


「神父様。お邪魔してすみませんでした。また改めて、ご挨拶に伺います」

「こちらこそすみませんな、デビットソンさん」

男が、チャーリーを見つめる目つき。
不快な敵対心の持ち主がこの男だと、チャーリーは確信した。
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