神様は気になさらない(KK2)
「神官長の息子が、自殺などするはずがない。あれは、殺されたのだ。魔女にたぶらかされてな」

姉は魔女としてとらえられ、牢獄の中にいる。
残された父と母は、世間から魔女の一族と蔑まれ、忌み嫌われて、村を出た。
そしてルイは、この男に、息子として引き取られた。
神父として、この街に派遣されるために。


「おまえがあの吸血鬼を倒したなら、おまえと、おまえの一家の神への忠誠を信じよう。魔女の処刑も、恩赦できるだろう」

「……はい」

「よく考えろ。おまえとは何のゆかりもない、恐るべき吸血鬼と、おまえの身内。どちらを助けるのか。……まぁ、魔女のきょうだいだ。身内への愛情など、ないのかも知れんがな」
< 32 / 57 >

この作品をシェア

pagetop