【短】始まりは2月14日
「もう咲とは別れて。アンタなんかと付き合ってんのが可哀想だよ。
じゃあ、あたしはこれで。
もう咲には一切関わらないでよ。」
美紗はカフェを飛びだした。
親友の心を踏み躙ったりょうが許せなかった。
デートするたびに、りょうとの写真を見せる、咲の嬉しそうな顔を思い出すと、心が痛んだ。
今頃泣いているであろう咲に、電話するのはためらわれる。
美紗はため息をひとつこぼした。
さっきまであんなに晴れていた空は、どんよりと曇っている。
まるで、明日からの咲を暗示しているようだった。