【短】始まりは2月14日
駆け足で階段をかけのぼる。
安西の書類を拾って時間をくったせいか、校舎にいる人はまばらだ。
もう委員会も終わっているかもしれない。あたしは焦っていた。
けど
「‥‥‥げ‥きだし‥(元気出して)。」
8階についたときに聞こえたその声に、あたしの足はとまった。
あたしの教室に近づくにつれてその音は大きくなっていく。
この声は‥‥‥恵ちゃんの友達の薫(かおる)ちゃん?
薫ちゃんが慰めてるって事は、恵ちゃん、振られた?
「元気だしな、メグ。もう、しょうがないじゃん。」
教室の前で聞こえた声。
「だって大輔くん好きな子いるって言ってたし。それに、その子のしかチョコ受け取らないって‥ね?今日は帰ろ。」
その言葉を聞いて、あたしの体は固まった。