【短】始まりは2月14日


嘘でしょ?大輔に、好きな子いるの?


だってあの時。一緒に帰った時はいないって‥‥。


プリントを床に落としそうになった。


ガタガタッ。椅子を引く物音で我に返る。


今はどこかに隠れなきゃ。そう思ったあたしは、隣の教室に逃げ込んだ。


恵ちゃんと薫ちゃんが去っていく足音が聞こえなくなって、ホッとしたのもつかの間。


大輔のことが頭をめぐる。


大輔には好きな子がいる。


たぶん、いや絶対その子はあたしじゃない。


好きな子のチョコしか受け取らないのなら、あたしのチョコは受け取ってもらえない。


完璧失恋じゃん。


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