【短】始まりは2月14日
美紗は叫んでからしまった、と思った。
これだけ大きい声で叫べば、りょうにも聞こえてしまう。
でも、後悔するのが遅すぎた。
次の瞬間、肩をがっちり捕まれていて。
「あれ?‥‥美紗ちゃん?」
覚悟を決めた美紗は、りょうを近くのカフェに連れ込んだ。
「いやぁ、相変わらず美紗ちゃんは可愛いね−。」
その言葉に美紗はいらっとする。
相当女慣れしてそうじゃないか。こいつは。
咲を傷つけといて。
「あの!浮気してるんですか?」
美紗は単刀直入に言った。
瞬間、りょうの眉がぴくりと動いたのを美紗は見逃さなかった。