キミはいない。
わたしは絶句した。
瞬きをすることも忘れた。
呼吸をすることさえも。
視界に入った光景が信じられなかった。
「ノックもしないで入ってくるなんて失礼じゃない?」
誰もが瞬きも、呼吸さえも忘れるハズ。
自分の部屋となる場所に、優雅に腰掛ける男の子を見れば。
しかもさっき出会った男の子が、だ。
「な…ななななな、」
「とりあえず深呼吸しようか?」
自分とは正反対の落ち着いた表情に目眩がした。