キミはいない。
「も、もしかして…、」
わたしの神妙な顔つきを見て、相手の表情が強張る。
「ホームレスさん、ですか?」
この部屋には自分と彼の二人きりにも関わらず、声を潜めていた。
「え?!いや…」
「いいの!無理しなくて!!」
「…あ、えっと……」
「それにわたし、住む場所ないような人を追い返すほど鬼じゃないしね。」
「…………。」
「大丈夫。お母さんたちには黙っておくから、ね?」
「―…あ、りがとう。お世話になるよ」
この時わたしはまだ気付いていなかった。
彼の秘密、
彼の正体を…